施主が祖母から譲り受けた土地での新婚生活スタートの家。

設計初期は祖母から譲り受けた古民家をなんとかリノベーションして住みたいとの施主の強い要望があり、幾度か調査や計画を繰り返したがこれから夫婦として、家族として長い年月を共に過ごしていく住まいとしてはなかなか難しいものがあった。

限られた予算とこれからの未来を見越してリノベーションを断念し、夫婦にとっての最小限の住まいを新築することを選択した。

敷地は祖母が過ごしていた時からの近隣関係や隣合う住宅との関係性があることから改めてそこで生活する夫婦のプライバシーを守る必要があったため、周囲の住宅と建物は平行にすることを避け、恵まれた敷地の中で角度を振った配置にすることで解消している。

建物は必要最低限の部屋を平家建ての中にまとめ、平面プランを正方形にまとめることで方行屋根のシンプルな家とした。方行屋根の美しい構造体を随所に表し、空間的な変化を生み出している。

祖母の住まいの和室にあった木製欄間を近代的な表現で組み込み、祖母から孫へと継承される家へとした。